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2008年1月20日 (日)

特定の不動産を相続させる旨の遺言

日曜日恒例の、サムライ塾早朝民法講座です。先週に引き続いて“遺言執行者の謎”に迫ります。

私的には“遺言執行者”は、相続財産に関しては調査・管理・移転など、遺言に書かれている内容を実現するために必要な、あらゆる手続きを実施する役目を担う、ある意味、遺言執行の最大権力者的な立場なのかと思っていました。たとえ相続人でも遺言執行者には逆らえないし、絶対服従みたいな感じかなと。もちろん遺言に沿ってという意味においてはですが。

平成7年1月24日の最判は「特定の不動産を特定の相続人に相続させる旨の遺言により、甲(特定の不動産を遺言により相続したもの)は被相続人の死亡とともに相続により当該不動産の所有権を取得し、その場合甲が単独でその旨の所有権移転登記手続きをする事ができ、遺言執行者は、遺言の執行として登記手続きをする義務を負わない」とあります。この裁判は甲への移転登記をいない間に、法定相続分での所有権移転登記がなされてしまい、甲が遺言執行者の登記手続きの懈怠を理由に損害賠償を求めたというものでした。もちろん遺言執行者に登記義務がないとされましたから損害賠償も認められませんでした。

なぜ遺言執行者が「登記義務を負わない」のかが正直わかりませんでした。それじゃあ何のために遺言執行者が指定されているのか、遺言の内容に沿った手続きを遂行するのが遺言執行者なのだとしたら、当然登記移転手続きも遺言執行者の義務でなければおかしいんじゃなかろうか、というのが私の引っ掛かりでした。
問題は、登記実務上、相続させる遺言については、その相続人が単独で登記申請をすることができる、とされていることでした。ここをちゃんと理解していないと、めちゃめちゃ混乱します。単独で登記申請することが出来るとは、逆に言うと特定の不動産を相続させる旨の遺言により相続をした場合、その相続人以外の者は、たとえ遺言執行者であったとしても移転登記をすることが出来ない、となるハズなのです。そう考えれば遺言執行者に登記の義務などあろうはずもなく、相続させる旨の遺言により特定の不動産を相続した者が唯一移転登記をすることが出来る人物なのです。

ただ、更にヤヤコシイ事に、この場合でも特定の不動産をその相続人に移転登記を取得させることは、民法1012条1項の遺言の執行に必要な行為にあたり、遺言執行者の職務権限に属する、と解するのが相当とあります。じゃあやっぱり移転登記は遺言執行者の義務なんじゃ・・・?と思いがちですが、判例によると「当該不動産が被相続人名義である限りは、遺言執行者の職務は顕在化せず、遺言執行者は登記手続きをすべき権利も義務も有しない」となるようです。

てことは、当該不動産が被相続人名義から、たとえば他の相続人によって特定の相続人以外の移転登記がなされた場合(遺言の実現が妨害された場合)は、遺言執行者の職務として、遺言執行者は当該移転登記の抹消登記手続きと、さらに特定の相続人への真正な登記名義の回復を原因とする移転登記手続きを求めることが出来る、ということになります。
なら、平成7年1月24日判決は・・・???

遺言執行者・・・手強いです。強敵です。

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コメント

ブログ開設おめでとうございます!
壁紙が正月っぽくてステキですね。

色々勉強なさっている様子が伺えて
凄いなと感じました。
ホント羨ましいですよー。

私ももう少しで長い浪人生活から解放されそうです。
出遅れてしまいましたが、何とか付いて行きたい
と思っています。

リンク貼らせていただきました!
今後共よろしくお願いします。

投稿: チャイコ | 2008年1月20日 (日) 21時56分

チャイコさん
こんばんは。
リンクありがとうございます。
今後ともよろしくお願い致します。

投稿: おさる | 2008年1月20日 (日) 22時31分

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